行政書士レイ国際法務事務所

新在留資格「経営・管理」③

15/06/15

こんにちは、行政女士の東麻未です。

ひきつづき4月1日スタートの改正入管法で「投資・経営」から「経営・管理」と改められた在留資格のお話。

この新在留資格「経営・管理」に、海外にいる方が日本の会社設立手続を完了させるまでの準備のための4ヶ月という在留期間が創設されました。
今までは事務所の賃貸契約を締結して、事務所を確保し、会社設立登記まで終わらせてから、在留資格認定証明書の交付申請を行うという流れで、しかも、会社設立登記をするためには、必ず日本に住所を有している人が1人必要でしたので、日本に住所を有する方を一時的にでも代表者に立てておく必要がありました。

今回、日本に投資してくれる外国人投資家を増やしたいという国策の要請もあり、日本における協力者がいない海外に住所を有する外国人でも、会社設立をできるようになりました。具体的には、定款の写しや、事務所をどこどこに構えてこのような事業を行いますという事業計画を提出すれば、在留資格「経営・管理」4ヶ月が取得できます。
そして、4ヶ月が取得できると中長期在留者(3ヶ月以上)になりますので、外国人住民登録ができ、住民票も発行されます。それによって、会社設立登記もできますし、事務所の賃貸契約もできるという流れです。

ここで、情報が早い方は「おや?」と思われた方も多いのではないでしょうか?
この4月1日の入管法一部改正の2週間前の3月16日に、「本日以降,代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について,申請を受理する取扱いとします。」という通達が、会社設立登記を管轄する法務省民事局長より出ています。つまり、海外に住所を有する外国人のみでも、会社設立登記ができるように、既になっていました。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00086.html

入国管理を管轄する入国管理局は法改正までしたのに、2週間前に民事局から通達(法改正より簡易な手続き)を出されてしまって、話題が薄まってしまったような感じですね。

しかし、いずれにしても海外に住所を有する外国人のみでも、法手続き上は会社設立をできるようになった訳ですが、法律を変えても運用上問題が起こってくるのは、法改正直後はよくあること。

①在留資格を取得できても、4ヶ月の間に、外国人登録をして、銀行で個人口座開設手続きをして、設立登記をして、事務所の賃貸契約をして、はたしてスムーズにいくか。②外国人のみの会社に事務所を貸すオーナーがいるか(すぐ見つかるか)。③会社設立後、外国人のみの法人で銀行口座開設がスムーズにいくか。などなど...既にいくつかの懸念点がでてきています。

いずれ銀行や不動産会社(オーナー)も対応されていくかとは思いますが、現時点では従来どおり日本における代表者を立てて手続きを任せる方が、短時間でリスク少なく、スムーズに事業を開始したい方にはおすすめです。

今後新情報がありましたらまたご紹介させて頂きたいと思います。

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