行政書士レイ国際法務事務所

帰化のポイント

14/03/07

こんにちは。行政書士の東麻未(ひがしあさみ)です。

日本に長く住んでいる外国人の方は、永住や帰化を考えると思います。本日は、帰化のポイントについて。通常帰化が許可されるための条件は、国籍法5条1項に以下のように規定されています。

1.引き続き5年以上日本に住所を有すること。
2.20歳以上で本国法によって行為能力を有すること。
3.素行が善良であること。
4.自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
5.国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。
6.日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

1の「引き続き5年以上日本に住所を有すること。」という条件に関して、「住所」という点と、「引き続き」という点を満たすかが問題になります。

1.「住所」について
民法22条に「住所」の定義として、「各人の生活の本拠をその者の住所とする」という規定がありますが、帰化許可申請においては、どのような場合に「生活の本拠」と認められるかという点が問題になります。この点、実務上は、少なくとも3年以上就労している場合に「生活の本拠」といえるだけ日本に定着していると判断されます。

例えば、日本の大学に4年間在籍し、卒業後就職して1年経過したので5年以上日本に住所を有していますといっても、留学中は「生活の本拠」が日本にあると認められないため、就職して3年経過した、7年経過時点で帰化が認められることになります。
一方で、日本人と結婚し、在留資格「日本人の配偶者等」を取得している外国人の場合には、実務上、就労期間は要求されていません。日本人と結婚したことをもって日本を「生活の本拠」として認められるためです。

2.「引き続き」について
海外出張等の長期の出国がある場合、「引き続き」という点を満たさないことがあります。この点、明確な基準は公表されていませんが、実務上、年間合計100日以上の出国がある場合は、申請において「引き続き」という点について特に気をつける必要があります。

例えば、年間合計180日以上出国しているけれども、会社命令によるやむを得ない出張であり、帰化申請までに日本に10年以上居住し、自宅も購入し、日本生まれの子もいるというケースで、上記のような点を総合的に判断した結果、帰化を許可された例もあります。しかし、仮にこの方が会社役員等の経営者であり、会社からの出張命令ではなく、自己判断による出張とみなされれば、許可されなかった可能性もあります。
長期の出国がある場合は、申請において「引き続き」という点について、事前に法務局に相談した上で、説明書等により、十分に説明する必要があります。

帰化許可申請は、在留資格の申請と違い、入国管理局ではなく、住所地を管轄する法務局又は地方法務局に申請を行います。申請書以外にも種々の書類を提出する必要がありますし,申請書類が揃っていれば必ず許可されるものではありません。上記にご紹介した6つの条件以外にも、日本語のテストがある場合もあります。

帰化をお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。