行政書士レイ国際法務事務所

外国人労働拡大を提言

14/03/27

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こんにちは。行政書士の東麻未(ひがしあさみ)です。

今日の朝日新聞の記事。
震災復興、2020年の東京五輪招致と、とくに人手不足が深刻な建設業に外国人労働者を受け入れようということですね。

そもそも日本は、特定の技能や経験を必要としない分野で働く単純労働者の受け入れを認めていません。ですから、建設現場で働く外国人は、就労制限のない日本人の配偶者や永住者、留学生のアルバイト、または技能実習のみでした。

技能実習というのは、受入れ機関によって以下の2つのタイプに分けられます。

(1)企業単独型(本邦の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施)
(2)団体監理型(商工会や中小企業団体等営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施)

技能実習生は、入国後1年目は技能等を修得する活動を行い、2年目・3年目に修得した技能に習熟するための活動を行います。在留資格は、入国1年目:「技能実習1号イ」、「技能実習1号ロ」、入国2・3年目:「技能実習2号イ」、「技能実習2号ロ」です。

技能実習1号終了時に移行対象職種・作業について技能検定基礎2級に合格し、地方入国管理局で在留資格変更許可を受けると、技能実習2号に移行することができます。この場合、技能実習1号で修得した実習実施機関と同一の機関で、かつ同一の技能等について習熟するための活動を行わなければなりません。

また、技能実習生は1年目から実習実施機関との雇用契約の下で技能実習を受けることになり、技能実習生には 労働基準法などの労働関係法令の保護が及びます。
そして、実習実施機関や監理団体等の受入れ機関は、技能実習生に対する講習(日本語教育、技能実習生の法的保護に必要な講義など)を実施することが義務付けられています。

今までは、滞在期間は、技能実習1号と技能実習2号を合わせても最長3年でした。そもそも技能実習制度は、外国人に日本の産業上の技術や技能、知識などを習得させ、本国で活用してもらうことにより人材育成を通して国際貢献を行うための制度でした。ですから、技能を身に着けたら、本国に帰って活用してもらうことが大前提なのです。 しかし、実質的には技能実習生を低賃金労働者として扱う不正な受入れが目立ち、様々な問題が起きたため、2010年7月に大幅な改正が行われ、現在のような労働基準法などの労働関係法令の保護が及ぶような制度になりました。

しかし、今回の政府が検討中の提言案では、現在の最長3年間の受け入れ期間を5年に延長する等、技能実習制度の拡充が図られているとのことなので、ちょっと驚きでした。

「最低賃金に近い額で働いてくれるから」と、安い賃金だけを求める経営者と技能実習生をめぐっては、昔から賃金の未払いや長時間残業などのトラブルが後を絶ちません。現実にお給料払ってもらってないというお話は多々聞きます。

人手不足な業種で、外国人労働者が力を発揮するというのは、とても良いことで、ありがたいことですが、外国人労働者の人権侵害や劣悪な労働環境で働かせるということがおきないようにしたいですね。